2024/08/27 19:14

世界に誇る日本の味覚「和牛」。今や海外でも需要が高まっている食材の一つです。その黒毛和牛といえば、松坂牛や神戸ビーフ、近江牛など多くの銘柄牛が存在しますが、それぞれにどんな特徴があるかご存じでしょうか?今回は黒毛和牛の特徴とそのおいしさの秘密についてご紹介します。日本の名産品「牛肉」の魅力に迫ります。


黒毛和牛とは?

黒毛和牛は日本の和牛の代表的な品種で、国内で飼育される和牛の約9割を占めると言われています。大理石模様のような美しい霜降り肉が特徴で、やわらかい肉質とジューシーな旨みが堪能できることでも知られます。口に入れると、ふわっと繊維がほどけていくようなお肉のくちどけが楽しめ、ステーキや焼肉、しゃぶしゃぶなどさまざまな食べ方で親しまれます。


和牛と国産牛の違い

お店の精肉コーナーで見かける「和牛」と「国産牛」。一見、似ているように見えて、実はまったく違った特徴のお肉であることをご存じでしたか?「和牛」は日本で生まれ育った在来種のこと。一方、「国産牛」は生まれた国は問わず、日本で飼育されている期間が最も長い牛肉のことを言います。また、「和牛」と呼ばれる品種は、「黒毛和種」「褐色和種」「日本短角種」「無角和種」の4種類のみ。つまり、限られた牛だけが「和牛」と呼ぶことができるのですね。


黒毛和牛の種類と銘柄牛

日本には「松坂牛」や「近江牛」、「米沢牛」など、320種類以上の銘柄牛が存在しますが、そのほとんどが黒毛和牛という品種。飼育する地域や育て方、飼料などにそれぞれ違いがあり、独自の基準をクリアした牛が銘柄牛の名前を名乗ることができます。今回はそんな日本三大和牛とも呼ばれる銘柄牛の特徴を見ていきましょう。


松坂牛(三重県)

全国的に高い知名度を持つ松坂牛は、キメ細やかな霜降りとやわらかい肉質、甘くてコクのある上品な香りが特徴で、口に入れた瞬間、さっと溶けていく舌ざわりのよさを感じます。すき焼きやしゃぶしゃぶなどの料理はもちろん、煮込み料理にも相性抜群です。

神戸ビーフ(兵庫県)

兵庫県で育てられた但馬牛のうち、一定の基準をクリアした牛肉のことを言います。お肉の中に細かく入った、美しい霜降りが特徴です。人肌で溶けるようなやさしいくちどけが楽しめ、後味がさらっとしているのも特徴。ステーキやすき焼き、ローストビーフにしてもおいしいです。

近江牛(滋賀県)

滋賀県全域で飼育される近江牛は、年間約6000頭しか出荷されない希少性が高い牛です。繊細な旨味が特徴で、キメの細かいなめらかな肉質とともに芳醇な香りを持ち合わせています。日本料理にはもちろん、フランス料理とも相性がよいと言われています。※日本三大和牛の一つに「米沢牛」が数えられることもあります。


日本一の和牛の産地は「鹿児島県」!

鹿児島といえば黒豚の産地としても有名ですが、実は黒毛和種の生産も日本の約19%を占めているんです。(2020年時点)また、肉質も最高ランクの5等級の割合が4割を超える評価。

 

そんな鹿児島県で最高の和牛が育てる理由の一つに、のびのびとした自然環境で牛の成長に合わせた配合の穀物飼料を与えているから。温暖で豊かな自然の中で育まれた牛は日本だけでなく世界を虜にするおいしさと言っても過言ではありません。


黒毛和牛のおいしさの秘密

ここまで黒毛和牛の種類について紹介してきましたが、黒毛和牛のおいしさの秘密とは一体どんなところにあるのでしょうか?今回は2つの観点から、その秘密を探ってみたいと思います。


不飽和脂肪酸の含有量

鮮やかな赤身肉に、繊細な霜降りが入った黒毛和牛は、熱を加えることで甘くコクのある香りが引き立ち、溶けるようなやわらかさが体感できる一品。その所以とも言われるのが、お肉に含まれる不飽和脂肪酸の存在です。牛肉に含まれるオレイン酸はオリーブオイルなどに含まれるオメガ9系の脂肪酸で、融点が16と低く、口に入れた瞬間、体温によって溶け出します。このときに、お肉の甘さと芳醇な旨味が引き立つのです。

飼料の質や牛への愛情

牛を飼育する肥育農家では、一頭一頭の牛に愛情を込めて育てています。飼料には稲わらや大豆粕、ふすまや大麦など、牛の成長に合わせた飼料を与え、一頭一頭が快適に過ごせるよう、放牧やブラッシング、部屋を分けての飼育など、行き届いた細やかな管理が繊細なお肉のおいしさにつながっているのです。


まとめ

今回は黒毛和牛の特徴とおいしさの秘密についてご紹介しました。高級で特別感のある食卓にぴったりの和牛ですが、その特徴を知れば知るほど奥が深く、牛肉の楽しみ方が広がりそうですね。次回からはお店で見かける牛肉の部位とその特徴、おいしい食べ方についてご紹介します。お楽しみに!